
壊れにくくするために、人を減らした。
その判断自体は、間違っていなかったと思う。
AIで画像を作ると、人数が増えるほど破綻しやすい。
顔が入れ替わる。
服が変わる。
位置がズレる。
誰が誰なのか分からなくなる。
だから、背景人物を消す。
登場人物を絞る。
これは、かなり強い事故防止策だ。
でも今日の差分では、そのルールを一度ひっくり返していた。
理由はシンプルだった。
人を消しすぎたせいで、今度は「行列」が成立しなくなった。
AI運用で怖いのは、失敗を防ぐルールが、いつの間にか目的そのものを削ってしまうことだ。
今日はその話を書く。
正しいはずの削減

今日読んだ差分には、かなり具体的な制作判断が残っていた。
ある制作メモでは、最初にこういう方針が置かれていた。
背景モブを完全に排除
登場人物は主要人物だけに固定
この判断には、ちゃんと理由がある。
以前の制作では、名前のない人物が増えたことで、位置や顔の一貫性が崩れていた。
別のログにも、モブが同じ顔になる、人物が説明なく消える、服装が変わる、といった失敗が残っている。
だから、人を減らす。
固定できないものを画面から外す。
AIに守らせる条件を減らす。
これは、かなり現実的な改善だ。
AIに任せる時は、自由度を増やすほど品質が上がるとは限らない。
むしろ、守る対象を減らした方が安定することは多い。
登場人物を3人に絞る。
位置を固定する。
画面に出してよい人を明記する。
ロゴや文字を禁止する。
こういう制約は、AIを縛るためではなく、成果物を壊さないためにある。
ただし、制約には副作用がある。
今回、その副作用がかなりはっきり出た。
目的まで削ってしまった

今回の題材は、行列だった。
行列を見せるには、当然ながら「並んでいる人」が必要になる。
でも、事故防止のために背景人物を完全に消すと、何が起きるか。
横入りが、横入りに見えなくなる。
最後尾に戻される罰も、罰として弱くなる。
待っている長さも、画で伝わらない。
制作メモには、途中でこういう判断が残っていた。
モブ完全排除では光の直後に割り込む行為が横入りとして成立せず、
最後尾への降格も罰として機能しない
これはかなり大事な一文だ。
「モブを消す」は、品質のためには正しい。
でも「行列を描く」という目的には、間違っていた。
ここで必要なのは、ルールを守り続けることではない。
ルールの目的に戻ることだ。
事故を減らすためのルールが、成果物の意味を壊していないかを見る。
AI運用では、ここを人間が見る必要がある。
AIは、与えられたルールを素直に守る。
でも、そのルールが目的に対して過剰になった時、自分で「このルールは戻した方がいい」とは言いにくい。
だから、人間側が撤回条件を書いておく。
このルールはいつ使うのか。
どんな時は使わないのか。
使った結果、何が壊れたら戻すのか。
そこまでがルールだと思った。
2人だけ戻す判断

今日の差分で良かったのは、ただ元に戻していないところだった。
背景人物を完全に戻したわけではない。
大量のモブを復活させたわけでもない。
最終的には、個体管理付きの背景客を2人だけ戻していた。
中間物には、こう整理されている。
個体管理付き背景客2人(mob_c・mob_d)
登場人物は主要3人 + 背景客2人 = 計5人に固定
これ以外の人物・モブは一切登場しない
この落としどころが、かなり実務的だった。
ゼロか全部かではない。
「行列が成立する最低人数」まで戻す。
ただし、管理できない人数には戻さない。
さらに、行列を成立させる要素も5つに分けていた。
- 光自身の人物配置
- 背景客2人の定位置
- 道の距離、約20〜25m
- 複数アングルの環境描写
- 最後尾へ歩く移動演出
ここまで分けると、AIへの依頼がかなり変わる。
「行列っぽくして」ではなくなる。
「この2人をこの位置に置き、道の長さと移動で行列を見せる」になる。
目的を満たす最小構成に戻す。
この考え方は、画像だけでなく、記事、LP、業務フローにも使える。
増やしすぎると壊れる。
減らしすぎても壊れる。
だから、必要最小限を探す。
ルールは撤回条件まで書く

今日の新ルールは、これにする。
削減ルールを使う前に見ること:
1. 何を守るための削減か
2. 削った結果、目的が成立するか
3. 成立しない時に戻す最小要素は何か
4. 戻した要素をどう管理するか
今まで私は、事故防止ルールを「強ければ強いほど安全」と見がちだった。
でも、今日の差分を見ると違う。
強いルールは、たしかに事故を減らす。
その代わり、表現や意味まで削ることがある。
だから、ルールには撤回条件がいる。
「背景人物を消す」は、人物の一貫性を守るには有効。
でも、行列や群衆や順番待ちを描く日には、最小限の背景人物が必要になる。
「全部読まない」は、混線防止には有効。
でも、正本に書かれた当日Diffの運用ログまで読まないと、学びを取り逃がす。
「自動で進める」は、欠落防止には有効。
でも、公開やお金や権利物は止める条件を別に置く。
どのルールも、効く場面と壊す場面がある。
AIに任せるほど、ルールは増える。
でも、増えたルールを絶対化すると、今度は目的が見えなくなる。
次回から測る数字は、単に失敗が減ったかではない。
削減した結果、目的が成立したか。
戻した要素は、何個で足りたか。
同じ理由で撤回したルールが再発していないか。
この3つを見る。
事故を減らすために削ったものが目的まで削っていたら、ルールを守るより先に最小構成へ戻す。