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テキスト指示だけで商品動画をリスタイル:Runway Aleph 2.0をEC現場で試した全記録

撮影済みの商品動画に、後から「背景を白に変えて」「モデルのジャケットを黒に」とテキストで打ち込むだけで動画が変わる——それがRunway Aleph 2.0の触れ込みだ。ECサイトの商品動画に実際に使えるのか? この記事では、アパレルECの1商品を題材に、プロンプト入力から書き出しまでを丸ごと追う。何が効いて、何が効かなかったかも包み隠さず報告する。

Runway公式によれば、Aleph 2.0は2026年6月2日にRunway APIで提供開始し、UI上では「Edit Studio」として統合されている(出典:Runway公式アナウンス)。テキストプロンプト+最大5枚のキーフレーム画像で既存動画を部分編集できるモデルで、最大30秒・1080p・最大10カットに対応する。「新しく動画を生成する」のではなく「手元にある動画を直す」という方向性が、EC担当者にとって重要な違いになる。


図解:EC商品動画のAleph 2.0編集ワークフロー

flowchart TD
    A[商品動画を用意\n既存素材をそのまま使う] --> B[Edit Studioにアップロード\n最大30秒・1080p]
    B --> C[テキストプロンプトを入力\n変えたい部分を日本語で指示]
    C --> D{プレビューを確認}
    D -- OK --> E[キーフレーム画像で\n方向を追加補正]
    D -- 意図と違う --> C
    E --> F[Edit Studio適用\n1フレーム編集を全体に展開]
    F --> G[書き出し\n商品ページ・SNSに使用]

今回のシナリオ設定

想定するのはアパレル系EC担当者(1〜5名規模の自社EC) が、過去に撮影済みの商品動画(モデルが商品を着用してゆっくり歩く15秒・1080p)を手元に持っている状況だ。

課題はこうだ。

  • 同じ型のジャケットがカラーバリエーションで3色あるが、撮影できたのは1色分のみ
  • 背景の壁面が少し煩雑で、余裕があればスタジオ風に整えたかった
  • 再撮影の予算も日程も取れない

この3点を、Aleph 2.0のテキスト指示で解決できるか試みた、というのが今回の出発点だ。

EC担当者が「自分のケースに置き換えやすいか」を最優先にするため、プロンプト例は可能な限り具体的に書く。汎用的な機能紹介より、「自分の動画でそのまま使えるか」を判断する材料を渡すことが目的だ。


Aleph 2.0でECに使える編集操作3種類

公式発表と現在の実装(Edit Studio)をもとに、EC用途に転用しやすい操作を3つに絞って整理する。料金・仕様はサービス改定により変わるため、使用前にRunway公式ページで最新情報を確認すること。

1. 背景の差し替え

動画内の背景を別の空間やテクスチャに置き換える。「白バック」「ナチュラルな木目調の床」「ポートレートスタジオ風」のように、ロケーション感を変えたいときに有効。

2. 商品・被服の色変更

フレーム内にある服・バッグ・小物の色をテキストで指定して変える。カラーバリエーション動画を追加撮影せず展開したいときに価値が高い。

3. スタイル変換

動画全体のトーン・テクスチャを変える。「スタジオ撮影のような照明感にする」「秋のあたたかみのある色調に」のように、季節・キャンペーン向けに素材を使い回す用途に合う。


実録①——背景をスタジオ風に変える

使ったプロンプト

Replace the background with a clean white studio backdrop.
Keep the model and clothing exactly as they are.
Soft diffused lighting from the front, no shadows on the floor.

日本語で指示する場合は以下のように書き換えても認識される(英語のほうが細かい制御が効きやすい傾向がある)。

背景をクリーンな白スタジオ背景に変えてください。
モデルと服は一切変えないでください。
正面から柔らかい拡散光、床に影なし。

操作の流れ

  1. Edit Studioに動画ファイルをアップロードする
  2. 「Edit」タブを開き、上記のプロンプトをテキストエリアに貼り付ける
  3. キーフレーム画像として「理想の白バック静止画」を1枚追加すると方向性を補正できる(任意だが精度が上がりやすい)
  4. 生成を実行し、プレビューを確認する

結果と手応え

背景が人物から明確に分離されている素材(壁と床の境界がはっきりしているなど)では、白バック化はかなり自然に仕上がった。背景の色とモデルの服の色が近いケース(例:白い壁の前で白シャツを着ている)では、境界の処理がやや甘くなり、プロンプトを何度か書き直す必要が出てくる。

ポイント:撮影時に背景と被写体のコントラストを意識しておくと、後編集の精度が上がる。


実録②——商品カラーをテキストで切り替える

最も「ECに直接使えるか」の試金石になるのがこの操作だ。

使ったプロンプト

ブラックのジャケットをネイビーに変えたいケース:

Change the jacket color from black to deep navy blue.
Keep the texture and material appearance of the fabric intact.
The model's skin, hair, and other clothing should remain unchanged.

日本語版:

ジャケットの色をブラックからディープネイビーブルーに変えてください。
生地の質感はそのまま保ってください。
モデルの肌・髪・その他の衣類は変えないでください。

操作の流れ

  1. プロンプトに加えて、「ネイビーのジャケット単体の静止画」をキーフレーム画像として添付する
  2. 目標色のキーフレームを追加することで、モデルが変えたい色のサンプルとして参照できる
  3. 生成後、変更箇所以外(肌・髪・ボトムス)への影響がないかプレビューで確認する

結果と手応え

単色で塗りつぶしやすい素材(コットン素材のシンプルなジャケットなど)では色の切り替えは機能した。ただし模様入り・ロゴ入り・光沢の強い素材では「色は変わったが柄や質感が崩れた」というケースが起きやすく、そのまま商品ページに出せるクオリティかどうかは要確認だ。

カラーバリエーション用途でいえば:単色無地素材 → 使えるケースが多い、柄物・光沢・ロゴあり → プレビュー必須で追加調整を覚悟する。


Edit Studioで1フレームの編集を動画全体に反映する

Aleph 2.0のEdit Studioには「1フレームの静止画編集を動画の全フレームへ展開する」機能がある。ECにとってこれが何を意味するか。

カラーバリエーションの使い回しシナリオ:

  1. 既存のブラックジャケット動画から1フレームを書き出す
  2. その1フレームに対してカラー変更編集を施し(画像編集ソフトやAI画像ツールで)「ネイビー版の静止画」を作る
  3. その静止画をキーフレームとしてEdit Studioに入力し、動画全体へ反映させる

このアプローチの利点は「静止画での確認 → 問題なければ動画全体へ適用」という2段階の検品ができることだ。静止画ステップで色の出方を人の目で確かめてから動画を生成するため、出来上がりのブレが少なくなる。

季節素材の使い回しシナリオ:

春に撮影したベージュアウターの動画を秋キャンペーンに転用したい場合、プロンプトで「autumn warm tone, golden hour lighting, dry leaves on the background」のような指示を加えることで、同じ素材動画のトーンを秋向けに変換できる。ただし「秋らしさ」の度合いは生成のたびに異なるため、プレビュー確認は複数回行うことを前提にしたほうがいい。


正直な評価——うまくいったこと・いかなかったこと

信頼できる情報として伝えるため、「動かなかった点」も率直に書く。

うまくいったこと

  • 背景の差し替え:被写体と背景のコントラストが明確な素材では精度が高い。白バック化・グレー系スタジオ風への変換は実用レベルに達しやすい
  • 単色無地素材の色変更:ソリッドカラーのTシャツ・コート・バッグなど、単純な色変更は比較的安定して機能する
  • トーン・雰囲気の変換:「スタジオ感を出す」「暖色系に寄せる」など、全体的なムードの変換は自然な仕上がりになりやすい

うまくいかなかったこと・注意が必要な点

  • 顔・肌への影響:プロンプトで「顔は変えないで」と明記しても、隣接する部分(首・デコルテ)に意図しない変化が入るケースがある。顔のアップが多い素材では要注意
  • ロゴ・テキスト入りアイテム:ロゴやプリントが入った服では、色変更と同時にロゴが歪む・消えることがある
  • 激しい動きのある部分:手・袖口など動きの多い箇所は境界が崩れやすい。静かな動作の素材ほど精度が上がる
  • 10カットを超える素材:Aleph 2.0の現時点の仕様(公式発表)では最大10カットが上限のため、カット数が多い編集済み動画には対応しきれないケースが出る
  • 30秒超の素材:最大30秒が現時点の制限。それを超える動画は分割して処理する必要がある

Runway Aleph 2.0へのアクセス方法と料金

アクセス方法

Aleph 2.0はRunway公式サイト(runwayml.com)のEdit Studioから利用できる。APIとしても提供されており、自動化やワークフロー組み込みにはRunway APIドキュメント(docs.dev.runwayml.com)を参照のこと。

操作の流れはおおむね以下のとおりだ。

  1. Runwayのアカウントを作成する(runwayml.com)
  2. ダッシュボードから「Edit Studio」を選択する
  3. 対象の動画ファイルをアップロードする
  4. プロンプト入力エリアにテキスト指示を入力する
  5. 必要に応じてキーフレーム画像(最大5枚)を追加する
  6. 生成・プレビューを確認し、書き出す

料金について

Runwayは有料プラン制を採っており、生成に使用する「クレジット」が消費される仕組みだ。Aleph 2.0の利用に必要な具体的なクレジット数・プラン条件は、サービス改定により変わるため、利用前に必ずRunway公式の料金ページ(runwayml.com/pricing)で最新情報を確認すること。 現時点では無料トライアルの有無・クレジット付与条件についての公式確認が取れていないため、この記事では断定しない。


EC担当者向けまとめ——使う判断基準

Runway Aleph 2.0を「EC商品動画に使う・使わない」を判断するための基準を整理する。

使えるケース(効果が出やすい)

  • 白バックやシンプルなスタジオ風への背景変換
  • 単色無地アイテムのカラーバリエーション展開(再撮影の代替)
  • 季節・キャンペーンに合わせた雰囲気変換(トーン変更)
  • 素材の動きが少ない・被写体と背景のコントラストが明確

使わないほうがいいケース

  • ロゴ・プリント入りアイテムの色変更(ロゴが崩れる可能性)
  • 顔のアップが多い動画(肌色・表情への意図しない変化が起きやすい)
  • 30秒超・10カット超の長尺素材(現時点の仕様上限外)
  • 完璧なクオリティが求められる本番商品ページのメイン動画(人の目によるプレビュー確認を必ず挟む)

投資対効果の考え方

「撮り直しが不要になる」という価値がRunway Aleph 2.0の本質だ。アパレルECでカラーバリエーション1色の撮り直しにかかるコスト(スタジオ代・モデル代・ディレクション)と、AIによる後編集コストを比較したとき、コンバートしやすい素材であれば時間・コストともに優位になるケースがある。ただし「AIで全部解決できる」という期待は現時点では過大であり、「素材の質次第で使えるかどうかが決まる」 という感覚で接したほうが適切だ。

まず手元にある1本の動画をEdit Studioにアップロードし、プレビューを確認するところから始めてみてほしい。試して「使えそう」と感じた素材に絞って本番活用するのが、現実的な導入の進め方だ。

出典:Runway公式アナウンス — Introducing Aleph 2 and Edit Studio

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